日本で「大人の発達障害」が認知されてから今に至るまで、医療・福祉・支援はどうなっているのでしょうか。知名度が上がったので、さぞかし良くなっているのでは、と思うかも知れません。
しかしながら、発達障害(自閉症)の専門の医療機関も依然として少なく、都心もしくは特定の都市に集中しており、全国から待ってでも診療を受けようとしている方々が後を絶たないのです。また、支援体制についても整備は全然に近いほど着手されていません。
発達障害が原因となって、ニートや引きこもりとなった当事者は長期にわたって解決されず、若年層には少し目が向けられるものの、本丸とも言うべき中高年については何も対策がとられずに置き去りにされています。
この問題が放置されると、どうなるのでしょうか。発達障害者向けの雇用が広がらずに、まだまだ買い手市場の就労状況であるために、彼らの能力活性の機会を失います。それだけならともかく、あと15年すると第二次ベビーブームが還暦を迎えます。この時が、国の財政を揺るがす分岐点になるのです。
その理由として、
1.第二次ベビーブーム世代は出生者数が多い
2.第二次ベビーブーム世代が4年制大学を卒業した時にバブルが崩壊した
3.バブル崩壊後の給与体制見直しで長期にわたってジリ貧になった
4.バブル崩壊後の就職氷河期でキャリア構築に失敗した人が多い
つまり、この世代の発達障害(自閉症)の人たちが無所得・低所得に喘いで生きているのです。そうなると、年金や健康保険料の納付が困難になり、老後の資金難ないし無年金状態になります。
そうなれば、彼らが還暦を迎えた時点で生活保護申請者が殺到する事態になるのです。これは、国にとって莫大な額の社会保障費を拠出するという、大きな代償を払うことを意味します。
その対策という意味でも、早い段階で一人でも多く就労させて自立促進をして、納税者を増やして財源維持をしないといけないのです。もちろん、対応は正しく執らなくてはなりません。失政を行えば、必ず国全体の底が抜けることになるのは火を見るより明らかだからです。
発達障害(自閉症)問題は、放置すれば国の危機に
